【社労士解説】残業代計算に「含める手当」と「含めなくてよい手当」の違いを徹底解説!
[目次]
「基本給に残業代の倍率をかければ正解」と思っていませんか? 実は、多くの企業で「諸手当」を残業代の計算基礎に入れ忘れるというミスが発生しています。
本記事では、クラウド導入前に必ず知っておきたい労働法の知識として、社労士の視点から「残業代の対象になる手当・ならない手当」を分かりやすく解説します。
給与計算のミスは未払い残業代問題に直結します。適切な計算方法をマスターして、リスクのない労務管理を目指しましょう。
基本給だけで計算するのはNG?残業代計算の落とし穴
給与計算の際、基本給を時給換算し、そこに1.25倍(割増率)をかけて残業代を出しているケースをよく見かけます。
しかし、基本給以外に「手当」を支払っている場合、その手当も時給換算に含めて計算しなければならないことが多々あります。
・よくあるミス: 基本給だけで計算してしまい、本来の時給単価より低く支払ってしまう。
・結果: 知らず知らずのうちに「未払い残業代」が発生し、コンプライアンスリスクを抱えることになります。
残業代の対象にしなくてよい7つの手当

結論から言うと、「ほとんどの手当は残業代の計算に入れなければならない」のが原則です。
労働基準法では、残業代の計算基礎(除外賃金)に入れなくてよい手当は、以下の7つに限定されています。
1.家族手当
2.通勤手当
3.別居手当
4.子女教育手当
5.住宅手当
6.臨時的に支払われる手当(結婚手当など)
7.1ヶ月を超える期間ごとに支払われる手当(賞与など)
これら以外の名称の手当は、原則としてすべて残業代の計算に含める必要があります。
逆はすべて対象!「役職手当」や「職務手当」は要注意
前述した7つの除外賃金以外は、会社がどのような名称で手当を作ったとしても、残業代の計算に含めなければなりません。
特によくある対象手当は以下の通りです。
・役職手当
・職務手当
・能率手当(職能手当)
・調整手当
「会社独自のルールでこれは入れない」と勝手に決めることはできません。法律で決まっている「除外できる7つ」に当てはまらないものは、必ず残業代の単価に反映させましょう。
名目だけではダメ!「除外」するための厳格なルール
「家族手当という名目にすれば、何でも除外できるのか?」というと、そうではありません。
例えば、以下のようなケースは「除外」が認められず、残業代の計算に入れなければなりません。
・一律支給の場合: 家族の人数に関わらず一律1万円、といった支給方法。
・距離に関わらず一律: 通勤手当という名目でも、全員一律で払っている場合。
本来、これらの除外手当は「個人の事情(家族数、通勤距離、住宅費用)」に応じて金額が変わるべき性質のものです。実態が伴わない「一律支給」の手当は、名目がどうあれ基本給と同じ扱い(計算対象)になると考えておきましょう。
まとめ:正しい知識でクラウド導入・業務効率化を
残業代の計算は、クラウド給与ソフトを導入すれば自動化できます。しかし、その「設定」を間違えてしまうと、誤った計算を延々と繰り返すことになります。
・除外できるのは法で定められた7つの手当のみ
・役職手当や職務手当などは必ず計算に含める
・「一律支給」の手当は名目に関わらず計算対象になる
これらのポイントを押さえ、正しく給与計算を行いましょう。
当事務所では、こうした労働法に基づいた適切な給与計算体制の構築や、クラウドツールの導入支援を行っています。お困りの際はお気軽にご相談ください!

この記事の著者
福岡社会保険労務士法人 代表社員 社会保険労務士 村里男樹
創業50年を超える歴史を持つ福岡社会保険労務士法人の代表社員。「手続きを代行するだけの社労士」ではなく、企業の成長と発展に本気で貢献する「提案型」の支援をモットーとしている。
強みは、労務相談や就業規則の見直し・作成といった基本業務に加え、勤怠・給与・タレントマネジメントなどのクラウドツール導入支援を組み合わせた総合的な人事労務の運用サポート。制度構築後の「運用」を重視し、労務環境の整備と企業発展に繋がる助成金の正しい活用にも注力している。