【社労士解説】固定残業代(みなし残業)の正しいルールとは?運用ミスを防ぐポイントを徹底解説!
「固定残業代を払っているから、残業代は一切出さなくていい」「みなし残業だから計算は不要」——そう思い込んでいませんか?
本記事では、社労士が「3分で学ぶ労働法」シリーズとして、意外と誤解が多い「固定残業(みなし残業)」の正しい仕組みと運用ルールについて分かりやすく解説します。
採用や従業員の定着にも関わる重要なテーマですので、経営者や人事担当者の方はぜひ最後までお読みください。
固定残業代(みなし残業)の仕組みとは?
固定残業代とは、一般的に「みなし残業」とも呼ばれます。 これは、「毎月の給与の中に、あらかじめ固定分として一定時間の残業代を含めて支払う」という仕組みです。
例えば、以下のようなケースを考えてみましょう。
・基本給:20万円
・固定残業手当:5万円(例:20時間分に相当)
この場合、実際の残業が1時間であっても、20時間であっても、会社はあらかじめ決めた5万円を必ず支払うことになります。
【重要】よくある勘違い!「固定=追加不要」ではない
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現場で非常に多い誤解が、「固定残業手当を払っているから、それ以上の残業代は出さなくていい」という考え方です。これは明確な間違いです。
超過分は追加支払いが必要
固定残業代として設定した時間(先ほどの例では20時間)を超えて残業が発生した場合は、その超過分を別途計算し、追加で支払う義務があります。
もし「100時間分の固定残業代を払っているから、いくら働かせても追加なし」といった運用をしようとすると、労働条件が著しく低下し、法律違反のリスクだけでなく、従業員の定着にも悪影響を及ぼします。
企業が知っておくべき固定残業代のデメリット
固定残業代は一見、計算の手間が省けるように思えますが、実は企業にとって「損」になる側面もあります。
・残業が少なくても支払う必要がある 固定残業代は「あってもなくても払う」ものです。残業がほとんどない月でも全額支払う必要があるため、人件費として無駄が生じる可能性があります。
・時給単価への影響 基本給と固定残業代を分けて設定している場合、残業代の計算基礎となる「時給(単価)」は、基本給の部分で計算されます。この構成によっては、採用時の見せ方や従業員の満足度において、足かせになることもあります。
基本的には、「残業した分だけを正確に計算して払う」ほうが、人件費管理としては合理的であるケースが多いです。
まとめ:正しい運用がトラブルを防ぐ
固定残業代を導入する際に最も押さえておくべき点は、「固定残業代を払えば、残業代が全く出なくなるわけではない」という点です。
あくまで「相当する分を先に払っている」だけであり、設定時間を超えたら必ず追加支給が必要です。このルールを正しく理解し、従業員に説明できる状態にしておくことが、労務トラブルを防ぐ第一歩となります。
固定残業代の導入検討や、現在の給与規定が適切かどうか不安な方は、ぜひ当事務所にご相談ください! クラウドツールを活用した、ミスのない給与計算体制の構築もサポートしております。

この記事の著者
福岡社会保険労務士法人 代表社員 社会保険労務士 村里男樹
創業50年を超える歴史を持つ福岡社会保険労務士法人の代表社員。「手続きを代行するだけの社労士」ではなく、企業の成長と発展に本気で貢献する「提案型」の支援をモットーとしている。
強みは、労務相談や就業規則の見直し・作成といった基本業務に加え、勤怠・給与・タレントマネジメントなどのクラウドツール導入支援を組み合わせた総合的な人事労務の運用サポート。制度構築後の「運用」を重視し、労務環境の整備と企業発展に繋がる助成金の正しい活用にも注力している。