【社労士解説】年度更新・算定基礎届とは?クラウド活用で事務作業を大幅に効率化する方法
こんにちは。福岡市の社会保険労務士、村里です。
5月・6月といえば、企業の総務・経理担当者や経営者の皆様にとって、非常に忙しい時期ではないでしょうか。そう、「年度更新」と「算定基礎届」の手続きが重なる時期だからです。
「どちらも似たような時期にやるけど、何が違うの?」「毎年、集計作業が大変……」と感じている方も多いはず。
今回は、この2つの手続きの基本的な内容と、マネーフォワード クラウドなどのシステムを活用して作業時間を劇的に削減する「裏技」について、社労士の視点から分かりやすく解説します。
労働保険の「年度更新」とは?
まず、6月から7月10日までに行う必要があるのが「労働保険の年度更新」です。
労働保険の仕組み
労働保険とは、「労災保険」と「雇用保険」の総称です。 社会保険(健康保険・厚生年金)は毎月の給与から控除してその都度納付しますが、労働保険は少し特殊です。1年間の保険料をまとめて精算する「申告納付」という形をとっています。
年度更新で行うこと
具体的には、以下の作業を一気に行います。
1.確定保険料の精算:前年度(4月〜3月)に実際に支払った賃金総額に基づき、保険料を確定させ、既に納めた概算分との差額を精算します。
2.概算保険料の納付:新年度(4月〜翌3月)に支払う予定の賃金見込額に基づき、先に保険料を納めます。
作業が大変な理由
年度更新では、従業員を「常用労働者(正社員)」「役員で労働者扱いとなる人」「臨時労働者(アルバイト・パート)」などに区分けし、それぞれの1年間の賃金を1ヶ月ずつ集計しなければなりません。 労災保険は全従業員が対象ですが、雇用保険は加入者のみが対象となるため、集計対象を間違えないように注意が必要です。
社会保険の「算定基礎届(算定)」とは?
次に、同時期に行うのが「社会保険の算定基礎届」です。専門用語では「定時決定」と呼びます。
算定の目的
社会保険料(健康保険・厚生年金)は、給与額に応じた「標準報酬等級」によって決まります。しかし、残業代などで毎月の給与は変動するため、年に一度、実際の給与実態に合わせて等級を見直す作業が必要です。これが「算定」です。
算定の方法
原則として、4月・5月・6月に支払われた給与の平均額を算出し、その年の9月分(10月納付分)からの新しい保険料を決定します。
年度更新との違い
・年度更新:1年間の「労働保険料」の精算(全従業員が関係)
・算定:これからの1年間の「社会保険料」の等級決定(社会保険加入者のみが関係)
クラウド給与ソフトで事務作業を効率化する「裏技」
「1年分の給与をエクセルで集計して、手書きで用紙に記入する……」 こうしたアナログな作業は、ミスが起きやすく、何より膨大な時間がかかります。
そこで活用したいのが、マネーフォワード クラウド給与などのクラウドシステムです。
システム連携で集計が「一瞬」に
クラウド給与ソフトで日々の給与計算を正しく行っていれば、年度更新や算定の作業は驚くほど簡単になります。
1.自動集計: 「この手当は労働保険の対象か」「この人は雇用保険に入っているか」といった設定をあらかじめ済ませておけば、システムが自動で区分けして集計値を算出してくれます。
2.算定基礎届の自動作成: 4・5・6月の給与データをボタン一つでインポートするだけで、平均額の算出から等級の判定までが完了します。
3.電子申請との相性も抜群: 集計したデータをそのまま電子申請に繋げられるため、役所へ行く手間や郵送の手間もなくなります。
まとめ:ツールを変えるだけで経営が変わる

年度更新や算定基礎届、そして年末調整といった業務は、避けては通れない非常に重要な仕事です。
しかし、これらに多大な時間を費やすのは、本来の経営や業務に集中する時間を奪っているとも言えます。クラウドツールを導入することで、計算ミスのリスクを減らし、事務作業を大幅に効率化することが可能です。
「今の集計作業をもっと楽にしたい」「クラウド化を検討したい」という方は、ぜひ一度マネーフォワードなどのシステム活用を検討してみてはいかがでしょうか。
当事務所では、クラウド導入のサポートや、年度更新・算定基礎届の代行も承っております。お困りの際はお気軽にご相談ください。

この記事の著者
福岡社会保険労務士法人 代表社員 社会保険労務士 村里男樹
創業50年を超える歴史を持つ福岡社会保険労務士法人の代表社員。「手続きを代行するだけの社労士」ではなく、企業の成長と発展に本気で貢献する「提案型」の支援をモットーとしている。
強みは、労務相談や就業規則の見直し・作成といった基本業務に加え、勤怠・給与・タレントマネジメントなどのクラウドツール導入支援を組み合わせた総合的な人事労務の運用サポート。制度構築後の「運用」を重視し、労務環境の整備と企業発展に繋がる助成金の正しい活用にも注力している。