【社労士解説】勤怠クラウドの設定ミスは給与計算のミスに直結!間違えやすい「労働時間の仕分け」ポイント
こんにちは、社会保険労務士の村里です。
今回のテーマは「勤怠クラウドの設定」についてです。 最近では多くの企業様が勤怠管理をクラウド化されていますが、実は「その集計、本当に合っていますか?」と不安に思われている担当者の方も少なくありません。
給与計算の間違いの多くは、実は計算式そのものではなく、その前段階である「労働時間の仕分け」から始まっています。 今回は、クラウド勤怠(KING OF TIMEなど)の画面を例に、間違いやすいポイントをわかりやすくお伝えします。
なぜ「労働時間の仕分け」が重要なのか?
勤怠クラウドは非常に便利ですが、初期設定のまま打刻データだけを入れると、驚くほど細かく労働時間が自動で振り分けられます。 例えば、以下のような項目がバラバラに集計されることがあります。
・所定内
・所定外
・残業
・深夜所定
・深夜残業
・休日所定
・休日残業
これらの項目ごとに「割増率」が異なるため、正しく理解して給与ソフトと連携させないと、意図せず「未払い残業代」が発生してしまうリスクがあるのです。
間違えやすい3つのポイント

動画では、特に間違いやすいポイントを3つに絞って解説しています。
深夜労働の考え方
深夜(22時〜翌5時)に働いた場合、それが「通常の勤務時間内(深夜所定)」なのか、「残業時間(深夜残業)」なのかで割増率が変わります。
・深夜所定:2割5分増し
・深夜残業:5割増し(残業2割5分 + 深夜2割5分) ここを混同して一律に設定してしまうと、計算が狂う原因になります。
休日労働の落とし穴
休日に働いた場合、勤怠クラウド上では「休日所定」「休日残業」などに分かれることがあります。 しかし、労働基準法上の「法定休日」であれば、そもそも残業という概念がなく、何時間働いても一律で3割5分増し(深夜を除く)となります。初期設定のまま「8時間を超えたから休日残業」としてしまうと、給与ソフト側で正しく計算されない可能性があるため非常に注意が必要です。
有給休暇の集計
特に注意が必要なのが、時給制(パート・アルバイト)の方です。 有給を取得した際、その時間が「所定労働時間」としてカウントされる設定になっていないと、給与計算時に時給が掛け合わされず、給与が支払われないというミスが起こります。
まとめ:運用のアドバイス
便利だと思って導入した勤怠クラウドも、設定をうのみにするのは危険です。 私のおすすめは、「同じ割増率のものはカスタム項目で統合して集計する」ことです。 集計項目をシンプルに整理した上で、給与ソフトにインポートすることで、ミスを大幅に減らすことができます。
「うちの設定は大丈夫かな?」と不安な方は、一度クラウド上での時間の分かれ方と、給与ソフトへの紐付けをしっかり確認してみてください。

この記事の著者
福岡社会保険労務士法人 代表社員 社会保険労務士 村里男樹
創業50年を超える歴史を持つ福岡社会保険労務士法人の代表社員。「手続きを代行するだけの社労士」ではなく、企業の成長と発展に本気で貢献する「提案型」の支援をモットーとしている。
強みは、労務相談や就業規則の見直し・作成といった基本業務に加え、勤怠・給与・タレントマネジメントなどのクラウドツール導入支援を組み合わせた総合的な人事労務の運用サポート。制度構築後の「運用」を重視し、労務環境の整備と企業発展に繋がる助成金の正しい活用にも注力している。