福岡社会保険労務士法人 広報★
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2026年5月22日
働き方の多様化が進む中で、「週休3日制」を導入する企業が増えています。
育児・介護との両立支援だけでなく、人材確保や離職防止、社員の学び直し支援などを目的として導入するケースもあります。
一方で、制度設計を誤ると
・長時間労働の固定化
・評価の不公平感
・有給休暇の取り扱いトラブル
・副業・兼業に関する問題などにつながる可能性があります。
この記事では、選択的週休3日制の3つのタイプや導入事例を紹介するとともに、社労士の視点から就業規則・労働時間制度・有休・副業ルール整備など、導入時に押さえるべき実務ポイントを解説します。
選択的週休3日制とは、従業員本人の希望によって「週休3日」を選択できる制度です。
あらかじめ週休3日を前提として雇用契約を結ぶ「完全週休3日制」とは異なり、ライフステージや本人の事情に応じて働き方を選択できる点が特徴です。
タイプ①:労働時間・給与維持型
労働時間と給与を維持するタイプです。
例えば、1日8時間・週5日勤務から、1日10時間・週4日勤務へ変更することで、週の総労働時間と給与を維持するタイプです。
このような働き方を導入する場合には、1か月単位の変形労働時間制やコアタイムのないフレックスタイム制など、適切な労働時間制度を整備する必要があります。
また、1日の所定労働時間が長くなるため疲労の蓄積や健康管理への配慮も欠かせません。
さらに、繁忙対応やシフト変更などによって法定外労働が発生する可能性もあるため、36協定の締結・運用についてもあわせて確認しておくことが重要です。
タイプ②:労働時間・給与削減型
1日の労働時間は変えず、勤務日数を週5日から週4日に減らすタイプです。労働時間が減る分、給与も減額されることが一般的です。
比較的導入しやすく、短時間正社員制度に近い運用となるケースもあります。
育児・介護などとの両立支援や離職防止策として活用されることが多いタイプです。
タイプ③:労働時間削減・給与維持型
労働時間を減らしながら給与は維持するタイプです。従業員にとってはメリットが大きい一方、企業側には高い生産性向上が求められます。
時間単価が上がるため、短い時間で成果を出せる業務設計が不可欠です。
業務の洗い出し、無駄な会議の削減、シフトの抜本的な見直しなどが必要になります。
採用力や従業員満足度の向上につながりやすい一方で、3つのタイプの中では最も制度設計の難易度が高いといえます。
【メリット】
✅ 人材の安定と昇進の機会
柔軟な働き方を用意することで、育児・介護中の人材や、学び直し・副業を希望する人材へのアピールにつながります。
✅離職率が低い
従業員がライフステージに応じて働き方を選べるため、経験者の離職防止につながる可能性があります。
✅生産性向上
限られた勤務時間の中で成果を出す必要があるため、不要な会議や非効率な業務の見直しが進みやすくなります。結果として、業務フロー改善やDX推進のきっかけになるケースもあります。
【デメリット】
✅シフト調整が難しい
休む曜日や勤務時間が従業員ごとに異なるため、現場のシフト調整が複雑になる場合があります。
✅評価の不公平感が生じやすい
勤務日数が少ないことを理由に評価が下がると、制度利用者の不満につながります。成果や業務内容に基づく評価制度の整備が必要です。
✅管理職の負担が増える
勤務日数や勤務時間が従業員ごとに異なるため、シフト調整や勤怠管理が煩雑になる可能性があります。
特に現場業務では、人員配置の偏りや突発的な欠員対応が課題になるケースがあります。
残業前提の働き方を見直す
制度導入前に残業前提の働き方を見直し、休みやすい職場風土を作ることが大切です。
対象事由と適用ルールを明確にする
育児・介護などに限定するのか、事由を問わず利用できる制度にするのかを検討し、申請・承認ルールを明確にします。
公正な評価制度を整える
労働時間や勤務日数の違いによって不利益が生じないよう、業務内容や成果に基づく評価制度を整備する必要があります。
チームのカバー体制を作る
制度利用者が休みの日でも業務が滞らないよう、チーム内での業務分担や情報共有の仕組みを見直します。また、いきなり全社導入するのではなく一部部署や期間限定で試験導入し、課題を洗い出す方法も有効です。
■有給休暇の付与日数への影響
選択的週休3日制を導入すると、制度のタイプによって週の所定労働時間や所定労働日数が変わる場合があります。
労働時間維持型で週40時間などの勤務を維持する場合は、通常のフルタイムと同じ有給休暇日数となることが多いです。
給与削減型などにより、「週所定労働時間が30時間未満」かつ「週所定労働日数が4日以下」となる場合には年次有給休暇は比例付与の対象となります。
一方で、週4日勤務であっても、週所定労働時間が30時間以上であれば、通常の労働者と同様の日数を付与する必要があります。
制度設計時には、「勤務日数」だけでなく「週所定労働時間」もあわせて確認することが重要です。
有給休暇の日数が変わる場合には、従業員に事前説明を行い、就業規則や労働条件通知書との整合性を確認しておくことが重要です。
■副業・兼業ルールの整備
休日が増えることで、副業や兼業を希望する従業員が増える可能性があります。
副業を認める場合には、就業規則において
📌労働時間の通算
📌割増賃金の取り扱い
📌長時間労働を防ぐ健康管理
📌機密漏洩防止
などを定めておく必要があります。
また、過重労働を防ぐために副業内容や労働時間を申告してもらう仕組みを整備しておくことも有効です。
■就業規則・労使協定の見直し
選択的週休3日制を導入する場合には、次のような規程の見直しが必要となることがあります。
📌就業規則
📌賃金規程
📌育児介護休業規程
📌副業・兼業規程
📌変形労働時間制に関する労使協定
📌36協定
📌年次有給休暇管理に関するルール
制度内容と規程内容に齟齬があると、労務トラブルにつながる可能性があります。導入前に、制度設計と各規程の整合性を確認しておきましょう。
労働人口の減少が進む中、企業には多様な働き方を実現できる柔軟性が求められています。
選択的週休3日制は単なる休日数の増加ではなく、人材確保、離職防止、生産性向上、従業員エンゲージメント向上につながる可能性を持つ制度です。
一方で、労働時間制度、評価制度、有給休暇、副業・兼業ルールなど、慎重な制度設計も欠かせません。
「多様な人材が長く活躍できる職場づくり」という視点を持って、自社に合った制度設計を進めることが重要です。
選択的週休3日制の導入をご検討中の企業様へ
選択的週休3日制の導入には労働時間制度の設計だけでなく、
📌就業規則の見直し
📌有給休暇管理
📌副業・兼業ルール整備
📌評価制度の再設計など、専門的な労務対応が必要です。
制度設計や就業規則の整備をご検討の際は、当事務所までお気軽にご相談ください。
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