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【社労士解説】管理監督者の落とし穴。残業代ゼロのつもりが未払い賃金で数百万の支払い!?

「管理職だから残業代は出ないよ」 そんな言葉、あなたの職場でも当たり前のように交わされていませんか?

しかし、経営者や人事担当者が「軽い気持ち」で従業員を管理監督者に任命していると、後からとんでもない額の未払い残業代を請求されるリスクがあります。

今回は、社労士の視点から労働基準法上の「管理監督者」の定義と、知っておかないと恐ろしい4つのリスクについて詳しく解説します。

「役職名」だけでは管理監督者とは認められない

厚生労働省の資料にも明記されていますが、「社内の管理職 = 労基法上の管理監督者」とは限りません。

たとえ「店長」や「課長」といった役職名がついていても、実態が伴っていなければ、法律上は一般従業員と同じ扱いになります。これを一般に「名ばかり管理職」と呼びます。

管理監督者の判断基準

以下のポイントを総合的に見て判断されます。

・経営者と一体的な立場で仕事をしているか

・採用や解雇、労働条件の決定などの権限を持っているか

・出退勤の自由があるか(勤務時間に縛られていないか)

・その地位にふさわしい賃金優遇(役職手当など)があるか

管理監督者の否認が恐ろしい「4つのポイント」

もし、会社が管理監督者だと思っていた従業員が、裁判などで「管理監督者ではない」と判断された場合、過去に遡って残業代を支払う必要があります。その際の計算が非常に厄介です。

支払い済み残業代が「ゼロ」からのスタート

一般従業員であれば、固定残業代などで一部支払い済みのケースが多いですが、管理監督者として扱っている場合、残業代を1円も払っていないことがほとんどです。そのため、計算された残業代の全額が「未払い」として加算されます。

時給単価が非常に高くなる

管理職は基本給や役職手当が高いため、残業代を計算する際の「時給単価」も跳ね上がります。一般社員の1.5倍〜2倍の単価で計算されることも珍しくありません。

そもそも労働時間が長い

管理職は責任が重く、一般社員よりも長時間労働になりがちです。月40時間、50時間といった残業が積み重なり、支払額が膨れ上がります。

過去3年分(将来的には5年分)遡って請求される

現在、未払い賃金の時効は3年です。1人あたり年間100万円の未払いがあれば、3年分で300万円。これが複数人になると、会社が傾くほどの金額になるリスクがあります。

有名な裁判例:マクドナルド事件

過去には大手ハンバーガーチェーンでも、「店長は管理監督者にあたるか」が争われた有名な裁判があります。結果として、店長には十分な権限や出退勤の自由がないとして、管理監督者性が否定され、多額の残業代支払いが命じられました。

「うちは大手じゃないから大丈夫」ではなく、むしろ中小企業ほど、実態と法律の乖離が起きやすいため注意が必要です。

まとめ:時代に合わせた見直しを

「昔はこれで通っていたから」という理屈は、今の時代通用しません。法律自体は変わっていなくても、法令遵守(コンプライアンス)の意識が高まりSNS等で情報が簡単に手に入る今、従業員からの指摘を受けるリスクは格段に上がっています。

・管理監督者として任命している社員に、本当に経営判断の権限があるか?

・自由な働き方ができているか?

・その責任に見合った十分な給与を払っているか?

少しでも不安がある場合は、早急な制度の見直しをお勧めします。
ご不安な方はぜひ当事務所へご相談ください。

この記事の著者

福岡社会保険労務士法人 代表社員 社会保険労務士 村里男樹

福岡社会保険労務士法人 代表社員 社会保険労務士 村里男樹

創業50年を超える歴史を持つ福岡社会保険労務士法人の代表社員。「手続きを代行するだけの社労士」ではなく、企業の成長と発展に本気で貢献する「提案型」の支援をモットーとしている。
強みは、労務相談や就業規則の見直し・作成といった基本業務に加え、勤怠・給与・タレントマネジメントなどのクラウドツール導入支援を組み合わせた総合的な人事労務の運用サポート。制度構築後の「運用」を重視し、労務環境の整備と企業発展に繋がる助成金の正しい活用にも注力している。

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