福岡社会保険労務士法人 広報★
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2026年3月18日
近年、メンタルヘルス不調による休職者の増加が社会問題となっています。
働き方の多様化や業務の高度化、人手不足による負担増加などを背景に、従業員のストレスや精神的負担は以前よりも高まりやすい環境にあります。
この記事では、ストレスチェック制度の義務化について、実施しない場合のリスク、AIを活用したストレスチェック方法、メリットや導入時の注意点について解説しています。
目次
ストレスチェック制度とは、労働者の心理的な負担の程度を把握し、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことを目的とした制度です。
2015年12月から常時50人以上の労働者を使用する事業場では、年1回のストレスチェック実施が義務化されています。
近年、この制度は対象範囲の拡大が検討されており、2025年3月には労働安全衛生法の改正内容にストレスチェック制度の拡充が盛り込まれ、公布後3年以内に50人未満の事業場にも義務化される見通しとなっています。
現在、ストレスチェックは従業員50人以上の事業場では義務化されており、実施率は8割以上と比較的高い水準となっています。
一方で、50人未満の事業場では実施率は3割程度にとどまっています。
その理由として、主に次のような点が挙げられます。
・現段階では、努力義務とされているため
・システム導入などのコスト負担
・実施後の対応が社内で整えられない
このような背景から、小規模事業所ではストレスチェックの導入が進んでいないと考えられます。
資料引用_厚生労働省:平成29年~令和5年のストレスチェック制度の実施状況
ストレスチェック制度は、一般的に次のような流れで実施されます。
1.年1回のストレスチェック実施
2.結果を本人へ通知
3.高ストレス者の選定
4.医師による面接指導(希望者)
5.職場環境の分析
6.職場環境の検討・改善
ストレスチェックは、従業員50人以上の事業場では法律上の義務となっています。
そのため、実施していない場合には次のようなリスクがあります。
労働安全衛生法に基づく義務のため、調査などで未実施が確認された場合は是正指導の対象となることがあります。
メンタルヘルス不調や労災が発生した場合、必要な対策を講じていなかったとして企業の安全配慮義務が問われる可能性があります。
ストレス状態を把握できないまま問題が深刻化し、結果として休職や離職につながるケースもあります。
近年は健康経営や人的資本経営の観点から、従業員の健康管理体制も企業評価の一つとされています。対策が不十分な場合、企業イメージに影響する可能性もあります。
令和6年度のメンタルヘルス不調による労災認定件数は1,000件以上となっており、2010年と比較すると約3倍に増加しています。
その要因として最も多いのが職場における対人関係の問題とされており、メンタルヘルス対策は企業にとって重要な労務管理の課題となっています。
・年1回の実施だけになっている
・結果を環境改善に活用できていない
・高ストレス者の対応が後回しになる
・人事担当者の負担が大きい
このような課題を解決する方法として、近年注目されているのがAIを活用したストレスチェックです。

資料引用:TIGEREYE 勤怠打刻の顔認証と同時にストレスチェック
AIストレスチェックとは、従来の年1回アンケートだけでなく、
AIやデータ分析を活用して従業員のストレス状態や変化の兆候を把握する取り組みです。
短い質問を定期的に配信し、従業員の状態を継続的に把握する手法です。
月1回、週1回など高頻度で実施することで、小さな変化にも気づきやすくなります。
AIチャットボットを通じて簡易的な心理状態確認や相談導線を設けることで、
従業員が気軽にアクセスしやすい環境づくりが可能になります。
サービスによっては、音声傾向や業務データなどを参考にストレス傾向の把握を補助するものもあります。
ただし、導入時には個人情報保護や利用目的の明確化が重要です。
このようにAIを活用することで、従来の「年1回のチェック」から、継続的に従業員の状態を把握するメンタルヘルス管理へと進化しています。
従来の年1回実施では見逃しやすかった変化も継続的なデータ取得により早めに把握しやすくなり、休職や離職の予防につながる可能性があります。
配信、回収、集計、分析などの工程をシステム化することで、人事担当者の業務負担軽減が期待できます。
スマートフォン対応や短時間で回答できる仕組みを整えることで、従業員にとって受けやすい制度設計が可能になります。
部署別・属性別の傾向を可視化しやすくなるため、ストレスの原因分析や改善施策の優先順位付けに役立ちます。
AIを活用すれば業務効率化につながる一方で、ストレスチェックは従業員の健康に関する重要な情報を扱う制度です。
そのため、導入時には法的なルールや実務上の注意点を十分に理解しておく必要があります。
ストレスチェック結果は慎重な取り扱いが必要な情報です。
取得目的、利用範囲、閲覧権限、保管方法を明確にし、適切な管理体制を整える必要があります。
AIによってリスクの兆候を把握したにもかかわらず必要な対応を行わなかった場合には、企業の安全配慮義務との関係が問題となる可能性があります。
ストレスチェック制度は、医師や保健師等の関与が前提となる制度です。
AIツールを導入する場合でも、産業医や実施者との役割分担を明確にし、制度趣旨に沿った運用が重要です。
ツールを導入しただけで制度運用が適正になるわけではありません。
社内ルールの整備、従業員への周知、面接指導の流れ、集団分析の活用など、運用体制全体を設計する必要があります。
ストレスチェック自体の実施者は医師や保健師など一定の有資格者に限られますが、
制度運用や労務管理との接点は非常に多く、社労士事務所が支援しやすいテーマです。
ストレスの背景には、長時間労働、人員配置、評価制度、上司とのコミュニケーションなど、労務管理上の課題が潜んでいることがあります。
そのため、ストレスチェックの結果を分析することで、職場環境や労務管理の課題を見直すきっかけになります。
高ストレスの要因として、長時間労働や休日取得不足が見つかるケースもあります。
その場合、36協定の運用の見直し、勤怠管理の改善、残業時間の抑制など、労働時間管理の改善につながることがあります。
ストレスチェックをきっかけに、メンタル不調者への対応が必要になる場合もあります。
その際には、休職制度の整備、復職時のルールづくり、就業規則の見直しなど、企業のメンタルヘルス対応体制の改善につながります。
ストレスチェックの集団分析を活用することで、部署ごとの傾向や課題を把握することができます。
その結果をもとに、業務量の見直しやコミュニケーション改善など職場環境の改善につなげることが重要です。
ストレスチェックは「実施すること」ではなく「活用すること」が重要です。
ストレスチェックは、一定規模以上の事業場で義務化されている重要な制度です。
しかし、実施して終わりでは本来の目的を十分に果たせません。
AIやDXの活用によって、従業員の状態変化を継続的に把握し、早期対応や職場改善につなげることが可能になります。
一方で、導入時には個人情報保護や安全配慮義務、産業医との連携など法的・実務的な視点も欠かせません。
ストレスチェック制度を「義務だからやる」から「組織改善に活かす」へ進化させることが、今後の企業経営において重要です。
福岡社会保険労務士法人では、400社以上の顧問先支援やクラウド導入支援の実績をもとに、企業のメンタルヘルス対策や労務管理の改善をご支援しています。
ストレスチェック制度についても、
📌ストレスチェック制度の導入・運用支援
📌集団分析を活用した職場環境改善のアドバイス
📌長時間労働対策や環境改善
📌就業規則や休職・復職制度の整備
📌AIやクラウドを活用した労務DXのご提案
など、制度対応だけでなく労務管理全体の改善につながるサポートを行っています。
ストレスチェック制度の運用やメンタルヘルス対策についてお悩みの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。
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