【社労士解説】年末調整クラウド比較!SmartHR vs マネーフォワード、実際に操作して分かった違いとは?
年末調整の時期が近づくと、人事労務担当者の頭を悩ませるのが膨大な書類の回収と確認作業です。近年、この業務を効率化するために「クラウド型年末調整システム」を導入する企業が急増しています。
今回は、数あるツールの中でも特にシェアの高い「SmartHR」と「マネーフォワード クラウド年末調整」の2つをピックアップ。社労士が実際に操作画面を使いながら、それぞれの特徴や使い勝手を徹底比較しました。
SmartHRの年末調整:直感的なアンケート形式で回答がスムーズ
まず、SmartHRの操作感から解説します。SmartHRの最大の特徴は、従業員にとっての「圧倒的な答えやすさ」にあります。
管理者側の設定と依頼
管理画面から「年末調整を始める」をクリックすると、既存の従業員情報が自動で同期されます。画像添付の必須設定などを済ませたら、対象者に一括で依頼メールを送信するだけです。進捗状況は「依頼中」「回答済み」「確定」といったステータスで一目で確認できます。
従業員側の入力体験
従業員にはメールで専用URLが届きます。入力は「アンケート形式」になっており、「はい・いいえ」で答えていくことで、複雑な分岐を意識せずに必要な情報が埋まっていきます。
・スマホ対応: 非常に見やすい UI で、外出先からも回答可能です。
・自動計算: 保険料の金額を入力すれば、控除額は自動算出されます。
・書類作成: 回答が終わると、見慣れた「申告書(控除申告書など)」の形式でデータが自動生成されます。
管理者のチェックと修正依頼
従業員から提出された内容は、画像(証明書)と照らし合わせながら画面上でチェックできます。不備がある場合は、「どの項目がどう間違っているか」のコメントを添えて、ボタン一つで修正依頼(差し戻し)が可能です。
マネーフォワード クラウド年末調整:給与計算までの「一気通貫」が強み
次に、マネーフォワード(MF)の特徴を見ていきましょう。MFの最大の武器は、同シリーズの「マネーフォワード クラウド給与」との強力な連携です。
マネーフォワード独自の連携機能
SmartHRとの大きな違いは、「年税額の算出から還付・徴収までがシステム内で完結する」点です。
・給与データの取り込み: 給与ソフトから年間の給与情報を直接インポートできます。
・還付金の自動計算: 回収した年末調整データと給与データを掛け合わせ、その場で過不足税額(還付金や追徴額)を算出します。
従業員・管理者の操作
入力画面はSmartHRと同様にアンケート形式を採用しており、初めての方でも迷わず入力できるようガイドが表示されます。管理画面のステータス管理も直感的で、修正依頼のフローも整っています。
給与ソフトへの反映
確定した還付金額は、そのまま給与計算ソフトへワンクリックで取り込めます。SmartHRの場合は、計算のために一度データをエクスポートして給与ソフトへ移す作業が必要になりますが、MFはこの「ソフト間の移動」が極めてスムーズです。
【比較まとめ】自社に合うのはどちら?
実際に両方を使ってみた個人的な感想と、おすすめの選び方をまとめました。
| 特徴 |
SmartHR |
マネーフォワード |
| 回答しやすさ |
非常に高い(アンケートが洗練されている) |
高い(丁寧なガイドあり) |
| 連携の強み |
従業員情報の管理・収集に特化 |
給与計算・還付金算出まで一気通貫 |
| おすすめの企業 |
従業員数が多く、利便性を最優先したい |
給与計算まで一気に効率化したい |
まとめ

・SmartHRがおすすめ: 「とにかく従業員に迷わせたくない」「労務管理全般をSmartHRでまとめている」という企業。UIが非常に秀逸で、マニュアルなしでも回答が進みます。
・マネーフォワードがおすすめ: 「給与計算まで一気に終わらせたい」「バックオフィスのデータ連携を重視する」という企業。還付金の算出から給与への反映までスムーズに行える点が非常に実用的です。
年末調整のペーパーレス化は、担当者の工数削減だけでなく、従業員の満足度向上にも直結します。自社の現在の運用ソフトや、どこまでの業務を効率化したいかに合わせて、最適なツールを選んでみてください。

この記事の著者
福岡社会保険労務士法人 代表社員 社会保険労務士 村里男樹
創業50年を超える歴史を持つ福岡社会保険労務士法人の代表社員。「手続きを代行するだけの社労士」ではなく、企業の成長と発展に本気で貢献する「提案型」の支援をモットーとしている。
強みは、労務相談や就業規則の見直し・作成といった基本業務に加え、勤怠・給与・タレントマネジメントなどのクラウドツール導入支援を組み合わせた総合的な人事労務の運用サポート。制度構築後の「運用」を重視し、労務環境の整備と企業発展に繋がる助成金の正しい活用にも注力している。