【社労士解説】マネーフォワードクラウド給与の初期設定ガイド
「給与計算を自社で完結させてコストを抑えたい」「でも、ソフトの設定が難しそうで不安……」そう感じている担当者の方は少なくありません。
クラウド給与ソフトの中でも人気の高い「マネーフォワードクラウド給与」は、正しく設定さえできれば、その後の業務を劇的に効率化してくれます。しかし、最初の「基本設定」を間違えてしまうと、誤った給与計算が続いてしまうリスクもあります。
今回は、社労士の視点から、導入時に必ず押さえておくべき基本設定のポイントをわかりやすく解説します。

導入の第一歩:まずはアカウントと会社情報を登録
マネーフォワードクラウド給与は、会計や請求書ソフトなどとセットになったパッケージ形式のツールです。まずは公式サイトからアカウントを作成し、以下の手順で進めていきましょう。
・アカウント作成: メールアドレスを登録し、送られてくる確認コードを入力しパスワードを設定します。
・事業所情報の入力: 会社名や住所など、基本となる情報を埋めていきます。
・サービスの開始: 管理画面から「給与」を選択し、利用規約に同意すれば準備完了です。
自動計算を正しく機能させるための「基本設定」
ログイン後、最初に向き合うのが「基本設定」メニューです。ここでの設定内容が、自動計算の「ルール」になります。
締め日と支払日の設定
まずは「正社員」「パート」など、雇用形態ごとの給与サイクルを登録します。ここで注意したいのが社会保険料の徴収タイミングです。一般的には「翌月徴収」が主流ですが、自社の慣習に合わせて慎重に選択してください。
手当(支給項目)のカスタマイズ
基本給だけでなく、役職手当や職務手当など、自社特有の手当を追加します。 ここで最も重要なのが、「その手当が残業代の計算の基礎に含まれるか(割増基礎)」のチェックです。このチェックが漏れると、残業代の計算間違いに直結するため、非常に重要な工程です。
勤怠項目の整理
「出勤日数」や「残業時間」の表示を整えます。マネーフォワードには最初から多くの項目が用意されていますが、自社で使わないものは非表示にして、シンプルで使いやすい入力画面にカスタマイズしましょう。
保険料計算の自動化設定
クラウドソフトの大きなメリットは、法改正による保険料率の変更が自動で行われることです。
・社会保険: 「協会けんぽ」などの加入区分を選び、都道府県を選択すると最新の料率が反映されます。
・労働保険: 建設業や一般事業などの業種区分を選択します。これにより、労災保険や雇用保険の計算が正しく行われるようになります。
ここが盲点!「年度設定」と「労働時間」
意外と見落としがちなのが「年度設定」です。ここで登録する「1ヶ月あたりの平均所定労働時間」は、残業代(時給単価)を算出するための分母になります。
就業規則に記載されている年間の休日数から逆算し、正しい数字を入力してください。ここを間違ったままにしておくと、全ての従業員の残業代が数円〜数百円単位でズレ続けてしまうため、設定後は必ず再確認が必要です。
おわりに:正確な設定が「安心」を生む
マネーフォワードクラウド給与は、一度正しく設定してしまえば、毎月の作業を大幅にショートカットできる強力なツールです。
一方で、手当の性質(課税・非課税の判断など)や労働時間の計算根拠などは、専門的な判断が必要な場面もあります。もし「自社のルールが特殊かもしれない」と不安を感じる場合は、設定の最終確認だけでも社労士などの専門家に相談してみるのが、トラブルを未然に防ぐ近道です。

この記事の著者
福岡社会保険労務士法人 代表社員 社会保険労務士 村里男樹
創業50年を超える歴史を持つ福岡社会保険労務士法人の代表社員。「手続きを代行するだけの社労士」ではなく、企業の成長と発展に本気で貢献する「提案型」の支援をモットーとしている。
強みは、労務相談や就業規則の見直し・作成といった基本業務に加え、勤怠・給与・タレントマネジメントなどのクラウドツール導入支援を組み合わせた総合的な人事労務の運用サポート。制度構築後の「運用」を重視し、労務環境の整備と企業発展に繋がる助成金の正しい活用にも注力している。