【社労士解説】マネーフォワード クラウド給与で会社独自の「オリジナル手当」は再現できるのか?
こんにちは、社会保険労務士の村里です。 クラウド給与ソフトの導入支援を行う中で、多くのお客様からご相談いただくのが「会社独自のユニークな手当を自動計算できるか?」という点です。
今回は、マネーフォワード クラウド給与を使って、よくある3つの手当パターンを実際に設定し、どこまで柔軟に対応できるかを検証・解説します。
今回検証する3つのオリジナル手当
・頑張った手当(精勤手当など)
アルバイトが月20日以上出勤したら一律5,000円支給
・テレワーク手当
1日500円支給(ただし上限10,000円)
・出張・宿泊日当(非課税処理)
宿泊を伴う出張1回につき定額支給(社会保険・雇用保険・所得税の対象外とする設定)
パターン1:頑張った手当(20日以上出勤で5,000円)
「特定の条件を満たした時だけ支給したい」というケースです。
設定のポイント:カスタム計算式とIF関数
マネーフォワード クラウド給与の「基本設定」>「支給項目」から、計算方法を「カスタム計算式」に設定します。
IF関数を使用し、「出勤日数が20日以上の場合は、設定した単価を支給する。そうでない場合は0円」という式を組みます。
運用のコツ
計算式の中に直接「5000」と入力するのではなく、「従業員情報で設定」とするのがおすすめです。これにより、人によって支給額を変えたい場合や、特定の人にだけこの手当を適用したい場合に柔軟に対応できます。
パターン2:テレワーク手当(1日500円・上限1万円)
「日額×日数」で計算しつつ、出しすぎないように上限を設けたいケースです。
設定のポイント:勤怠項目の追加
まず「基本設定」>「勤怠項目」で、計算の元となる**「テレワーク勤務日数」**という項目を新規作成します。
計算式の組み方
カスタム計算式で、「500円 × テレワーク勤務日数」が10,000円を超えるかどうかを判定する式を作ります。
・計算結果が10,000円を超えたら → 10,000円を支給
・超えない場合は → そのままの計算結果を支給
これにより、21日以上勤務しても自動的に10,000円で頭打ちになる設定が可能です。
パターン3:出張・宿泊日当(非課税・賃金対象外)
実費精算の性質を持つ日当などを、給与と一緒に振り込みたいが、税金や保険料の対象にはしたくないケースです。
設定のポイント:各種控除対象のチェックを外す
支給項目の詳細設定において、以下のチェックを外すことが重要です。
・健康保険・厚生年金・雇用保険の計算対象から外す
・所得税の課税対象から外す(非課税にする)
・割増賃金(残業代)の計算基礎から外す
この設定を正しく行うことで、手当を支給しても所得税や保険料が変動しないように自動対応できます。
※規定の整備等、税務・労務上の注意点は事前に専門家へご確認ください。
まとめ:オリジナル手当作成時の注意点

マネーフォワード クラウド給与は、カスタム計算式を活用することで、かなり複雑な独自ルールも再現可能です。
ただし、設定時に最も注意すべきは「計算式」そのものよりも、「その手当が法的に何に該当するか」です。
・雇用保険や社会保険の算定対象に含まれるか?
・残業代を計算する際の単価(割増賃金の基礎)に含める必要があるか?
・所得税の課税対象か?
名目(手当の名前)に関わらず、実態に基づいてこれらのチェックを正しく入れないと、給与計算を自動化しても「自動的に間違った計算を繰り返す」ことになってしまいます。
導入の際は、自社の規定とシステムのチェック項目をしっかりと照らし合わせるようにしましょう。

この記事の著者
福岡社会保険労務士法人 代表社員 社会保険労務士 村里男樹
創業50年を超える歴史を持つ福岡社会保険労務士法人の代表社員。「手続きを代行するだけの社労士」ではなく、企業の成長と発展に本気で貢献する「提案型」の支援をモットーとしている。
強みは、労務相談や就業規則の見直し・作成といった基本業務に加え、勤怠・給与・タレントマネジメントなどのクラウドツール導入支援を組み合わせた総合的な人事労務の運用サポート。制度構築後の「運用」を重視し、労務環境の整備と企業発展に繋がる助成金の正しい活用にも注力している。