【社労士解説】マネーフォワードクラウド給与の「カスタム計算式」で給与計算を効率化!3つの活用パターンを実演
マネーフォワード クラウド給与には、独自の手当や複雑な計算ルールを自動化できる「カスタム計算式」という非常に便利な機能があります。
「エクセルで計算した結果を手入力している」「独自の計算ルールがあってクラウド化を諦めている」という企業様は多いのではないでしょうか。
今回は、社会保険労務士が実際にマネーフォワードの画面を操作しながら、カスタム計算式の使い方と具体的な活用事例を3つのパターンで解説します。
マネーフォワードの「カスタム計算式」とは?
カスタム計算式は、2021年12月に追加された標準機能です。追加料金なしで利用でき、以下のような四則演算や関数を組み合わせて独自の計算式を作成できます。
・四則演算(+、-、×、÷)
・IF関数(もし~なら、という条件分岐)
・端数処理(ROUNDUPなどの切り上げ・切り捨て)
これにより、従来は「手当×時間」といったシンプルな計算しかできなかったものが、複数の条件を掛け合わせた複雑な給与体系にも対応できるようになりました。
パターン1:残業代を特定の単位で端数処理(切り上げ)する
企業によっては、「残業代を100円単位や10円単位で支払いたい」という独自の運用をしている場合があります。これをカスタム計算式の「ROUNDUP」を使って実現します。
設定のポイント
1.基本設定 > 支給項目 から新しい手当(例:残業代テスト)を作成。
2.計算方法を「カスタム計算式」に設定。
3.計算式に以下のような式を入力します。
式例(100円単位切り上げの場合) ROUNDUP((基本給 / 所定労働時間) * 1.25 * 残業時間, -2)
実演の結果
・計算結果が「19,532円」となる場合でも、自動的に「19,600円」と切り上がって算出されます。
・末尾の数字を「-1」にすれば10円単位、「-3」にすれば1,000円単位の調整も可能です。
パターン2:時給制のパートに月額手当がある場合の割増賃金計算
時給制の従業員に「月額1万円の役職手当」などを支給している場合、残業代の計算基礎にその1万円も含める必要があります。これを手動で行うとミスが起きやすいですが、カスタム計算式なら自動化できます。
設定のポイント
時給単価を出す式と、月額手当を時給換算する式を合算させます。
式例 ((基本給 / 所定労働時間) + (役職手当 / 月平均所定労働時間)) * 1.25 * 残業時間
実演の結果
時給1,000円の人が1万円の手当をもらっている場合、単に時給の1.25倍(1,250円)ではなく、手当分を上乗せした単価(例:1,329円)で正確に残業代が算出されるようになります。
パターン3:金額ベースの「固定残業手当」の超過分計算
マネーフォワードの標準機能では「時間ベース」の固定残業管理が主ですが、企業によっては「5万円までは固定、それを超えたら差額を支給」という「金額ベース」で管理している場合があります。
設定のポイント
IF関数を使って、「本来の残業代 > 固定残業手当」の場合のみ差額を出す式を組みます。
式例 IF(本来の残業代計算式 > 固定残業手当, 本来の残業代計算式 - 固定残業手当, 0)
実演の結果
・残業時間が少なく、本来の残業代が5万円以下のときは「0円」と表示されます。
・残業代が5万円を超えたとき(例:52,735円)は、超過分の「2,735円」だけが自動で計上されます。
カスタム計算式を導入するメリット
1.手作業の削減とミス防止 これまで電卓を叩いたり、別管理のエクセルから転記していた作業がゼロになります。
2.勤怠データとのスムーズな連携 勤怠クラウド側で集計した特定の時間や回数をそのまま計算式に反映できるため、歩合給などの計算も効率化できます。
3.複雑な独自ルールへの対応 「この条件のときはこの単価で」といった、クラウド導入の壁になりがちな独自ルールも、多くの場合この機能で解決可能です。
まとめ

マネーフォワード クラウド給与のカスタム計算式を活用すれば、給与計算の業務効率は劇的に向上します。せっかくクラウドを導入するのであれば、無駄な手作業を徹底的に省き、ミスのない給与計算体制を構築しましょう。
設定方法が分からない、自社のルールが再現できるか不安といった場合は、クラウドに強い社労士へ相談することをお勧めします。

この記事の著者
福岡社会保険労務士法人 代表社員 社会保険労務士 村里男樹
創業50年を超える歴史を持つ福岡社会保険労務士法人の代表社員。「手続きを代行するだけの社労士」ではなく、企業の成長と発展に本気で貢献する「提案型」の支援をモットーとしている。
強みは、労務相談や就業規則の見直し・作成といった基本業務に加え、勤怠・給与・タレントマネジメントなどのクラウドツール導入支援を組み合わせた総合的な人事労務の運用サポート。制度構築後の「運用」を重視し、労務環境の整備と企業発展に繋がる助成金の正しい活用にも注力している。