【社労士解説】休暇制度の「有給・無給」「義務・任意」を徹底解説!
こんにちは、村里です。
今回は「休暇制度」について、少し掘り下げてお話ししていこうと思います。
「慶弔休暇」や「バースデー休暇」など、休暇制度に関するお問い合わせは実務上非常に多くいただきます。しかし、一言に「休暇」と言っても、法律で必ず定めなければならないものもあれば、会社が独自に任意で設定できるものもあります。
2025年4月・10月には育児休業・介護休業の法改正も控えており、近年は福利厚生として「リフレッシュ休暇」などが注目されるなど、働き方を見直す上で休暇制度の理解は欠かせません。
そこで今回は、代表的な休暇を挙げながら、それらが「法的義務か任意か」「有給か無給か」というポイントを整理して解説します。
休暇制度の分類:法律で決まっているもの vs 会社が自由に決めるもの
休暇制度は大きく分けて、「法律(労働基準法など)で定められたもの」と、「会社が福利厚生などの目的で独自に定めるもの」の2種類があります。
まずは、法律で定められている主要な休暇から見ていきましょう。
年次有給休暇(法的義務:有給)
言わずと知れた、労働基準法で定められた休暇です。正社員だけでなく、アルバイトやパートの方にも、勤続年数や労働日数に応じて付与されます。その名の通り、取得しても給与が発生する「有給」の休暇です。
産前産後休業(法的義務:原則無給)
出産予定日の前後(産前6週間・産後8週間)に取得できる休業です。特に産後は法律で就業が禁止されている期間もあります。会社に給与を支払う義務はありませんが、社会保険から「出産手当金」が支給される仕組みになっています。
育児休業(法的義務:原則無給)
原則として子が1歳になるまで(保育園に入れない等の事情があれば最長2歳まで)取得できる休業です。こちらも会社からの給与は「無給」が一般的ですが、雇用保険から「育児休業給付金」が支給されます。
介護休業・介護休暇(法的義務:原則無給)
家族の介護のために取得できる制度です。「休業」については、国から給付金が出る仕組みになっています。会社として対象範囲を広げることは可能ですが、給付金の対象になるかどうかは法律の要件によります。
子の看護休暇・生理休暇(法的義務:原則無給)
これらも法律に定めがあり、従業員から請求があった場合には会社は拒むことができません。ただし、給与を支払う義務まではないため、多くの企業では「無給」として運用されています。
公民権行使のための休暇(法的義務:原則無給)
選挙の投票や裁判員制度への参加など、公的な権利を行使するための時間です。会社はこれを与える義務がありますが、有給である必要はないため、実務上は無給(または有給休暇を充てる形)が多く見られます。
会社が独自に定める休暇(任意)
次に、法律で義務付けられていない、会社が自由に設計できる休暇です。これらは福利厚生や採用力の強化として活用されます。
慶弔(けいちょう)休暇
結婚や身内の不幸などの際に取得できる休暇です。実は法律上の義務はないため、制度自体がない会社も存在します。
・ポイント:同居か別居か、何親等までかなど、会社が独自にルールを決められます。
・有給・無給:会社次第ですが、福利厚生の意味合いから「有給」としている企業が比較的多い印象です。
リフレッシュ休暇・バースデー休暇など
「ボランティア休暇」「メモリアル休暇」など、名称も内容も自由です。
・目的:求人でのアピールや、従業員のエンゲージメント向上。
・有給・無給:無給にすると結局「有給休暇(年次有給休暇)」を使えばいいとなってしまうため、これらは「有給」として、年次有給休暇とは別に付与されるのが一般的です。
まとめ:休暇制度は「従業員を大切にする姿勢」の表れ

休暇制度をまとめると以下のようになります。
| 休暇の種類 |
法的義務 |
給与の扱い(一般的) |
| 年次有給休暇 |
あり |
有給 |
| 産休・育休・介護休業 |
あり |
無給(国からの給付金あり) |
| 看護・生理・公民権休暇 |
あり |
無給 |
| 慶弔・リフレッシュ休暇等 |
なし(任意) |
有給(が多い) |
企業にとっては、法改正への対応として最低限の規定を整備することはもちろん大切ですが、プラスアルファの休暇をどう活用するかが「選ばれる会社」になるための鍵となります。
また、求職者や従業員の皆さんにとっても、その会社の休暇が「法律で決まっているものだけ」なのか、「会社独自の工夫があるのか」を見ることで、その会社がどれだけ従業員を大切にしているかを判断する一つの指標になるでしょう。
就業規則の作成や見直し、休暇制度の設計についてお困りの際は、ぜひ当事務所へお気軽にご相談ください。

この記事の著者
福岡社会保険労務士法人 代表社員 社会保険労務士 村里男樹
創業50年を超える歴史を持つ福岡社会保険労務士法人の代表社員。「手続きを代行するだけの社労士」ではなく、企業の成長と発展に本気で貢献する「提案型」の支援をモットーとしている。
強みは、労務相談や就業規則の見直し・作成といった基本業務に加え、勤怠・給与・タレントマネジメントなどのクラウドツール導入支援を組み合わせた総合的な人事労務の運用サポート。制度構築後の「運用」を重視し、労務環境の整備と企業発展に繋がる助成金の正しい活用にも注力している。