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【社労士解説】助成金申請の成否を分ける「4つの書類」。審査で見られる整合性の注意点とは?

助成金の申請を検討されている経営者の方や担当者の方から、「うちは助成金がもらえますか?」というご相談をよくいただきます。

助成金には非常に多くの種類がありますが、どの助成金を活用するにしても、その前段階としてクリアしておかなければならない「労務管理のポイント」があります。ここが整っていないと、せっかく要件を満たしていても不支給になってしまうケースが少なくありません。

今回は、厚生労働省の資料を交えながら、助成金申請のために最低限整えておくべき4つの書類と、審査の鍵となる「整合性」について、社労士の視点から解説します。

助成金申請の土台となる「4つの必須書類」

助成金は厚生労働省が管轄しており、公的な資金を原資としているため、会社のルールが法令に則って正しく運用されているかが厳しくチェックされます。

特に重要となるのが、以下の4つの書類の「整合性」です。

1.就業規則

2.労働条件通知書(雇用契約書)

3.出勤簿(タイムカード)

4.賃金台帳

これら4つの書類の内容がすべて一致していることが、助成金受給の絶対条件となります。

就業規則:会社のルールブック

助成金の多くは、「会社に新しい制度を導入する」ことに対して支給されます。そのため、その制度が「いつから」「誰に対して」適用されるのかを就業規則で明文化する必要があります。

・適用範囲の明確化: 正社員のみなのか、契約社員も含まれるのか、誰に適用されるのかが重要です。

・実態との一致: 労働時間、休憩、休日、給与の支払いルールなどが、実際の運用とズレていないか細かく見られます。

厚生労働省の「モデル就業規則」も参考にできますが、助成金をもらうためだけに形だけ整えると、後の労務トラブルに繋がる恐れがあるため、自社の実態に合わせることが不可欠です。

労働条件通知書:個別の契約内容

就業規則が会社全体のルールであるのに対し、労働条件通知書(雇用契約書)は従業員一人ひとりの契約内容を記したものです。

・整合性のチェック: 就業規則で定められた労働時間や給与体系と、個別の契約内容が一致しているか。

・具体的記載: 勤務時間、休日、基本給、諸手当などが正しく明記されているか。

出勤簿と賃金台帳:正しい運用の証明

「契約(就業規則・通知書)」と「実態(出勤簿・賃金台帳)」が一致しているかどうかが、審査で最も厳しく見られるポイントです。

・時間の整合性: 労働条件通知書に書かれた始業・終業時間と、実際のタイムカードの打刻が矛盾していないか。

・給与計算の正確性: 残業代の計算根拠となる時間数が、出勤簿と賃金台帳で合致しているか。

例えば、通知書には「8時〜17時勤務」とあるのに、実際は「9時〜18時」で働いているといった矛盾があると、助成金の対象外となる可能性があります。

法改正への最新対応も不可欠

もう一つ見落とせないのが、「最新の法改正に対応した就業規則になっているか」という点です。

・有給休暇の義務化: 年5日の有給休暇取得義務に関する記載があるか。

・定年制: 定年が60歳未満になっていないか(法令違反があると受け付けてもらえません)。

・育児・介護休業法: 最新の改正内容が反映されているか。

古いままの就業規則では、それだけで「法令遵守ができていない」とみなされ、不支給になるケースがあるため注意が必要です。

まとめ

助成金申請において大切なポイントは以下の2点に集約されます。

1.「就業規則」「雇用契約書」「賃金台帳」「出勤簿」の4つの整合性が取れていること。

2.就業規則が最新の法改正(有給義務化、定年、育休など)に対応していること。

助成金をもらえるかどうかを検討する際、まずはこの「足腰」となる労務管理が整っているかを確認しましょう。

「自社の書類が整っているか不安」「法改正への対応ができているか見てほしい」という方は、ぜひ一度専門家である社労士にご相談ください。

この記事の著者

福岡社会保険労務士法人 代表社員 社会保険労務士 村里男樹

福岡社会保険労務士法人 代表社員 社会保険労務士 村里男樹

創業50年を超える歴史を持つ福岡社会保険労務士法人の代表社員。「手続きを代行するだけの社労士」ではなく、企業の成長と発展に本気で貢献する「提案型」の支援をモットーとしている。
強みは、労務相談や就業規則の見直し・作成といった基本業務に加え、勤怠・給与・タレントマネジメントなどのクラウドツール導入支援を組み合わせた総合的な人事労務の運用サポート。制度構築後の「運用」を重視し、労務環境の整備と企業発展に繋がる助成金の正しい活用にも注力している。

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