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【2026年 労働基準法の大改正まとめ】
40年ぶりの大改正に労務管理が大きく変わる!

2025年12月10日

2026年は「労働法制の大きな転換点」と言われており、特に労働基準法の大幅見直しが予定されています。本改正は、約40年ぶりの大規模改正であり、中小企業を含むすべての企業に影響します。

本記事では、2026年の労働基準法改正のうち、この“企業が絶対に押さえるべき7大ポイント”を分かりやすく解説します。

※現段階での情報で施行日、内容については確定ではありません。
厚生労働省:労働基準関係法制研究会報告書(PDF)


目次


2026年の労基法改正は「働き方の再設計」がテーマ

今回の労基法改正は、単なるルール変更ではなく、“働き方の質”をどう高めるかが背景にあります。

特にポイントとなるのは以下の3点です。

・長時間労働の確実な抑制
・休息時間の確保と健康管理
・多様な働き方(副業・兼業など)へのルール整備

つまり、労働時間管理・就業規則・勤怠システム・賃金制度まで 企業の内部ルール全体を見直す必要がある規模感 だということです。

 


【改正①】連続勤務の上限規制(14日以上の連続勤務は禁止)

これまで労働基準法には「連続勤務の上限」が明確には規定されていませんでした。
しかし、繁忙期には15日〜20日連続勤務となるケースが散見され、長時間労働による健康被害や過労死との関連が指摘されていました。

2026年の改正では、これを法的に明確化し、

14日を超える連続勤務は禁止する

という新たな上限が設定されます。

実務のインパクト
・変形労働時間制を採用する企業は特に注意
・年末年始や繁忙期のシフト作成が現在のままでは違法になり得る
・退職者が出た際など、“穴埋め勤務”ができなくなる可能性

連続勤務を避けるためには、人員配置・シフト作成・休日設定の見直し が不可欠です。

実は管理監督者も対象

管理監督者は「労働時間規制の対象外」という誤解も多いですが、健康配慮義務は事業者側に残るため、連続勤務が慢性化していれば 労災リスク になります。

つまり、この改正は“全従業員を含む就業体制の再設計”が必要となるものです。


 

【改正②】法定休日の特定義務の明確化

法定休日(週1回または4週4日以上休ませる)が曖昧な運用になっている企業は少なくありません。特にシフト制の企業では「週休2日だけど、どれが法定休日か分からない」という状況もよくあります。

2026年改正では、この曖昧さを解消するため、

“いつを法定休日とするか”を就業規則で明確に示すことが義務化される方向

となっています。

背景
・休日を特定しないことで“休日労働なのか普通労働なのか”が分からない問題
・代休・振替休日のルールが不整合になり、賃金トラブルが増加
・労基署の監督でも「休日管理」の指摘が増えている

実務での影響
・シフト作成の段階で“法定休日”を前提に組む必要
・代休・振替休日の手続きルールを見直す必要
・勤怠システムに法定休日設定を紐づける必要あり

「法定休日」が明確になれば、休日労働の割増賃金の計算ミスを減らす効果 もあります。

企業にとっては“見直しの絶好の機会”です。


 

【改正③】勤務間インターバル制度の義務化(11時間以上の休息)

日本でもようやく国際基準に近づきつつあります。勤務間インターバル制度とは、

終業から次の始業まで、一定の休息時間(原則11時間)を確保する制度

です。なぜ導入されるのか?

・夜遅くの退勤 → 翌日の早朝出勤 が常態化している
・睡眠不足による労災・交通事故の増加
・在宅勤務で“いつでも働ける”状況が加速

従業員の健康確保の観点から、「休息時間を適切に確保する」ことが国の方針となりました。

企業の実務影響
・夜勤後の“明け”の取扱いを見直す必要
・管理職の早朝出社・サービス早出も対象
・実質的にシフトの自由度が下がる
・休息が足りない場合の調整ルールを整備する必要

勤怠システム側でも インターバル不足の警告 を出せるようにする企業が増えており、“働きすぎ防止”をシステムで担保する流れになっていきます。


 

【改正④】有給休暇の賃金算定方式の見直し(通常賃金方式)

現行制度では、有給休暇の賃金計算方法が

・平均賃金方式
・通常賃金方式
・健保標準報酬日額法方式

と複数あり、企業ごとに運用がバラバラでした。2026年改正では、

有給休暇は原則「通常賃金方式」へ一本化

となる方向です。なぜ一本化するのか?

・計算方式が複数あることで従業員が不公平感を覚える
・システム設定が複雑でミスが起きやすい
・法的解釈も難しいため中小企業では誤算定が多い

実務での影響

給与規程の変更(特に “歩合給・インセンティブ” がある企業)
・固定残業代との関係整理
・正社員とパートの計算差異の見直し
・勤怠システム設定の統一

賃金計算の誤りは 未払い賃金請求につながる重大リスク のため、この改正は企業のメリットも大きいです。


 

【改正⑤】副業・兼業者の割増賃金算定(労働時間通算)の見直し

副業が一般化する中で、

・企業Aで6時間
・副業先Bで4時間

と働いた場合、どこが割増賃金を支払うのかが曖昧で、実務混乱の一因となっていました。

2026年改正では、

複数事業場で働く労働者の労働時間通算ルール割増賃金負担の整理

が進む予定です。

なぜ必要?
・テレワーク普及で副業が増加
・労働時間通算を怠ると過重労働の温床に
・副業先との情報連携が曖昧なままだと未払い賃金リスク

実務で起きる変化
・副業規程の“健康確保”の位置付け強化
・労働時間申告書の作成が必須
・兼業許可制・上限設定の明確化
・副業を理由とした割増計算ルールを整備

企業は「副業禁止」を打ち出すのではなく、副業を前提に“安全に働ける仕組み”を整える方向に動く必要 があります。


 

【改正⑥】週44時間特例措置の廃止(実質40時間制へ統一)

現在、「商業」「理美容業」「旅館業」などは、週44時間まで労働時間の上限が緩和されています。

2026年改正では、

44時間特例を廃止し、すべての企業を週40時間へ統一

する方向で議論が進んでいます。

実務への影響(特例業種に該当する企業は特に影響が大きいです。)
・人員不足が起こりやすくなる
・残業代が発生しやすく“人件費増”につながる
・夜営業・土日営業企業ではシフト再構築が必須
・兼務者の労働時間超過リスクの増加

特に小売・宿泊・美容系の企業では、労基対応+採用強化 の両方が求められる改正です。


 

【改正⑦】つながらない権利に関するガイドラインの策定

「勤務時間外にもチャットが飛んでくる」「休日にメールを返さないといけない雰囲気がある」

こうした“つながりっぱなし”の働き方が問題視される中、日本でも

つながらない権利(Right to Disconnect)=勤務時間外に業務連絡に応じる義務はない

という考え方が導入されようとしています。

現時点では ガイドライン策定の検討 にとどまりますが、2026年前後の働き方改革の重要論点です。

背景
・在宅勤務で境界が曖昧に
・メンタル不調の原因として「連絡過多」が増加
・欧州ではすでに法律化している国が多い

企業が準備すべきこと
・勤務外連絡のルールを就業規則に明確化
・緊急連絡の基準作り
・管理職教育(上司が一番トラブルの原因になりやすい)
・チャットツールの通知設定ルール化

これは労働時間管理というより、企業文化・マネジメントの改善 に直結するテーマです。


 

労基法改正で企業が直面する“3つのリスク”

2026年の労基法改正は、企業の実務に直接影響する3つのリスクをはらんでいます。

第一に 是正指導リスク
連続勤務・インターバル・法定休日など、曖昧だった部分が明確化されるため、監督署の指摘対象になりやすくなります。

第二に 人件費の増加
週44時間特例廃止や休息時間の確保によって、シフト増強・残業発生などのコスト増が避けられません。

第三に 離職・メンタル不調の増加
働き過ぎや休息不足が続けば、労災・退職・採用難といった経営リスクにつながります。

改正は“理想の働き方”を整える機会であり、後回しにするほど運用負担が大きくなる点に注意が必要です。


 

企業が今すぐ行うべき「改正対応リスト」

改正対応の第一歩は 就業規則の見直し
休日・インターバル・副業・有給計算方式など、7つの改正点に整合するルール整備が欠かせません。

次に 勤怠管理システムの設定変更
連続勤務の上限、インターバルのアラート、週40時間基準への統一など、システム側の調整が必須です。

さらに シフト・人員配置の再設計
特に小売・宿泊・医療・飲食などでは、既存人数のままでは運用困難になる可能性があります。

最後に 管理職教育・従業員周知
制度が変わっても現場が理解していなければ違反につながるため、研修・説明会での認識統一が重要です。


 

福岡社会保険労務士法人として提供できる支援

今回の労基法改正は、規程・勤怠・シフト・賃金制度が複合的に絡むため、専門家の伴走が成果を左右します。
福岡社会保険労務士法人では、

・労務リスク診断 により現状課題の洗い出し
・就業規則・規程のフル改定
・勤怠システムの設定支援(インターバル・法定休日・40時間基準など)
・シフト改善・働き方設計のアドバイス
・管理職研修・従業員説明会の実施

など、改正対応を“企業成長につながる仕組みづくり”としてサポートします。単なる法対応で終わらせず、働きやすさと生産性を同時に高める支援が可能です。

 


 

まとめ:2026年の労基法改正は“早い企業ほど強くなる”

2026年の改正は、働き方・休息・シフト管理まで見直す大きな変更です。

後追いで対応すると、残業代増加やシフト崩壊などの“負のコスト”が大きくなりがちですが、早めに準備すれば、労務リスク削減・離職防止・採用力向上といった“企業力強化”につながります。

2025年はまさに準備の年。福岡社会保険労務士法人として、企業の不安に寄り添いながら、改正を“働き方アップデートのチャンス”へ変えるサポートを行っていきます。

 

 

 

この記事の著者

福岡社会保険労務士法人 広報

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福岡社会保険労務士法人の広報チームです。難しくなりがちな労務・人事のテーマを、できるだけ分かりやすく、すぐに役立つ形でお届けします。法改正、勤怠・給与のDX、実務のお悩み解消など、日々の業務に役立つ情報を発信しています。

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