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【2025年10月から大幅アップ!】
最低賃金はいくらになる?月給者も要注意!

2025年9月19日

2025年10月に最低賃金が改定されます。
全国加重平均額は1121円となる見通しで、昨年度から66円引き上げられ過去最高の増額幅となります。
ちなみに当法人がある福岡県では992円から65円アップの1057円に引き上げられる見通しです。

目次

最低賃金とその対象範囲

最低賃金額は最低賃金審議会において毎年審議を行っており、地域の経済状況や賃金水準を踏まえて決定されます。

対象者は正社員・パート・アルバイト・派遣社員・外国人労働者を含むすべての労働者に適用され、雇用形態や国籍などにかかわらず企業側は最低賃金以上の賃金を支払う義務があります。

 

どのくらい上がる?全国平均と近年の傾向

2025年の全国加重平均額は1,121円

20年前の2005年の全国平均は668円。そこから徐々に上昇し2020年に902円を突破。

ここ数年は急激な上昇傾向で毎年30円~60円程度の増加になり、2025年の1,121円(予定)は過去5年間で200円以上の上昇となっています。

急激な上昇の背景には、近年の物価高や2020年代に全国平均1,500円を目標とする政府の方針が関係しています。

 

 

特にCランクの地域では、慢性的な人手不足や都市部との経済格差が長年の課題とされてきました。

こうした背景から、今回の最低賃金改定では、全国で最も大きい引き上げ幅がCランクに適用されました(+64円)。

 

 

最新の制度情報は

厚生労働省:令和7年度地域別最低賃金の全国一覧

をご確認ください。

 

月給者は注意!最低賃金の計算方法

時給者は【最低賃金<実際の時給】で単純に比較できますが、月給者の場合は支給額を時給換算して比較する必要があるため、確認作業がやや複雑になります。

月給者の時給単価は、基準内賃金÷月平均の所定労働時間で計算します。

(例)従業員Aさん 所定労働時間(月平均172時間)

基本給200,000円、資格手当20,000円、家族手当10,000円、通勤手当10,000円
基準内賃金【基本給200,000円+資格手当20,000円】の220,000円÷172時間=時給単価1,279円
となります。

※家族手当や通勤手当は従業員の個別の事情に応じて支給される手当であり、労働の対価ではないため基準内賃金には含まれません。

また、基本給に固定残業代が含まれている場合も基準内賃金に含めることはできないため、基本給と固定残業代を分けて計算する必要があります。

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最低賃金違反のリスクと企業責任

最低賃金法により、労働者へ支払う賃金は地域ごとに定められた最低賃金額を下回ってはならないと明確に規定されています。

これは時給者だけでなく、月給制や日給制の従業員も対象です。

最低賃金違反による主なリスク
労働基準監督署による是正勧告・指導

違反が発覚した場合、企業は労基署から未払い賃金の支払い命令を受ける可能性があります。

遡及して支払いが発生

賃金の未払いがあった場合、未払い分に加え最大で過去5年分までの遡及支払いが求められる可能性があります。

かつての2年時効は見直され、原則5年と延長されましたが経過措置として当面の間は3年とされています。ただし、今後すべての企業に5年適用が一般化していく見通しです。

付加金(損害賠償的な制裁金)の支払いリスク
 故意または重大な過失があると判断された場合、裁判所の命令により、未払い額と同額の付加金の支払いが命じられることもあります。

 

企業が取るべき対応
毎年の最低賃金改定のタイミングで自社の賃金体系を見直す
月給者の時給換算を定期的に確認する
給与計算担当者への教育・マニュアル整備を行う
不安がある場合は専門家(社労士)に相談する

こんなときは社労士に相談を!

最低賃金の改定は年に1回必ず発生するだけでなく、法改正や判例による運用変更もついてまわります。

法令違反は「知らなかった」「うっかり」では済まされません。企業としての信頼や価値を守るためにも、今一度、自社の給与体系が最新の最低賃金をクリアしているか確認しておきましょう。

自社だけで完全に対応するのが難しい場合は、社労士による賃金のチェックや運用の確認を行うことでリスクを未然に防ぐことができます。まずは無料相談をご活用ください。

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