【2月延長確定】雇用調整助成金について徹底解説
今回の新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、多くの企業様が、休業や閉店、営業時間短縮、従業員のやむを得ない解雇を出す事態となっています。
企業にとっても、働く従業員にとっても、厳しい状況かと思います。
その状況を少しでも払拭出来るよう、国から発令された緊急事態宣言に伴い、雇用調整助成金に特例措置が講じられることとなりました。
今回は、特例措置が講じられたことにより自社申請すら可能な程簡素化された雇用調整助成金について、12月9日現在の情報を元に最新情報(詳細版)を紹介していきます。
1.雇用調整助成金とは?
雇用調整助成金とは、新型コロナウイルス感染症の影響により事業縮小を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を図る為に休業(雇用調整)を実施し、休業手当を支給することで、その費用の一部を助成する制度です。
2.雇用調整助成金の活用要件
雇用調整助成金を活用する要件としてはシンプルです。
先程記載したように、“従業員の雇用維持を図る”為に休業(雇用調整)を実施し、休業手当を支給することが雇用調整助成金の前提要件です。
しかし、申請要件が多数あり、ただ休業させれば良いというものではありません。
3.雇用調整助成金の申請要件
雇用調整助成金の申請要件を以下にまとめました。
※申請要件は、特例措置適応後の最新のものになります。
①雇用保険の適用事業所であること
②労使間の協定(休業協定書)により休業が行われていること
③判定基礎期間※1における対象労働者※2に係る休業または教育訓練の実施日の述日数が対象労働者に係る所定労働延日数※3の1/40(大企業の場合は1/30)以上となるものであること
④休業手当の支払いが労働基準法第26条の規定に違反していないものであること
⑤所定労働日かつ所定労働時間内において実施されるものであること
⑤について、上記いずれかを満たすことが必要です。
・所定労働日の全1日で実施されるもの
・所定労働時間内に部署・部門や職種、役職、担当、勤務体制、シフトなどにより行われる1時間以上の短時間休業
・事業所一斉に行われる1時間以上の短時間休業であること。
⑥判定基礎期間の翌日から起算して2ヶ月以内に、管轄労働局へ申請を行うこと
※1・・・賃金締切日の翌日から次の賃金締切日までの期間
※2・・・事業所の雇用される雇用保険被保険者。ただし、解雇予告された被保険者、退職勧奨に応じた被保険者、日雇労働被保険者を除く
※3・・・全対象労働者の合計所定労働日数
4.雇用調整助成金の特例措置
雇用調整助成金の特例措置を以下表にまとめました。
緊急対応期間(特例措置適用期間) | 4月1日~2月28日 |
生産指標要件 | ①初回の休業月、②初回の休業月の前月、③初回の休業月の前々月のいずれかの売上高と ①’1年前の同月を比較して5%以上減少していること 1年前と比較して減少していない場合、②’2年前の同月又は③’1ヶ月~1年前の間の いずれかの月と比較して、5%以上減少していること |
対象者 | 雇用保険被保険者 → 雇用調整助成金 雇用保険被保険者 → 創設された緊急雇用安定助成金被保険者期間要件を撤廃 |
助成率 | 4/5(中小企業)、2/3(大企業) ※解雇等を行っておらず、雇用を維持している場合は10/10(中小企業)、3/4(大企業) ※解雇等を行った場合は、行った月の助成率が下がります。 |
日額上限額 | 15,000円 |
計画手続き | 不要 |
クーリング期間 | 廃止 |
支給限度日数 | 1年100日、3年150日+4月1日~12月31日 |
短時間休業 | 短時間休業要件を大幅に緩和 |
休業規模要件 | 1/40(中小企業)、1/30(大企業) |
残業相殺 | 停止 |
教育訓練助成率 | 2,400円(中小企業)、1,800円(大企業) |
出向期間要件 | 1ヶ月以上1年以内 |
5.雇用調整助成金の加算要件
教育訓練を行った際、1日2,400円(大企業は1,800円)の加算があります。
教育訓練を実施する際の要件を以下にまとめました。
★所定労働日の所定労働時間内において実施されるもの
★事業内訓練の場合、事業主が自ら実施するもので、受講する労働者の所定労働時間の全1日または半日(3時間以上で所定労働時間未満)にわたり行われるもの
★事業外訓練の場合、受講する労働者の所定労働時間の全1日または半日(3時間以上で所定労働時間未満)にわたり行われるもの
★職業に関連する知識、技術を習得させ、または向上させることを目的とする教育、訓練、講習等であること
※教育訓練実施日の休業手当は、10割支給である必要があります。
※同様の訓練に対する助成金の併給は出来ません。
6.出向
休業や教育訓練だけでなく、雇用の維持方法として出向させる手段もあります。
対象労働者を出向させる場合、以下全てに該当する必要があります。
①雇用調整を目的とし、人事交流、経営戦略、業務提携、実習の為等に行われるものではなく、かつ出向労働者を交換しあうものでないこと
②労使間の協定(休業協定書)により行われていること
③出向労働者の同意を得たものであること
④出向先事業所が雇用保険の適用事業所であること
⑤出向元事業主と出向先事業主が、資本的、経済的・組織的関連性等からみて、独立性が認められること
⑥出向先事業主が、当該出向労働者の出向開始日の前日から起算して6か月前の日から1年を経過した日までの間に、当該出向者の受入れに際し、その雇用する被保険者を事業主都合により離職させていないこと
⑦出向期間が3か月以上1年以内であって出向元事業所に復帰するものであること
⑧本助成金等の対象となる出向の終了後6か月以内に当該労働者を再度出向させるものでないこと
⑨出向元事業所が出向労働者の賃金の一部(全部を除く)を負担していること
⑩出向労働者に出向前に支払っていた賃金とおおむね同じ額の賃金を支払うものであること
⑪出向元事業所において、雇入れ助成の対象となる労働者や他の事業主から本助成金等の支給対象となる出向労働者を受け入れていないこと
⑫出向先事業所において、出向者の受入れに際し、自己の労働者について本助成金等の支給対象となる出向を行っていないこと
【注意】 以下の場合は支給対象となりません。
・職業に関する知識、技能または技術の習得または向上を目的としないもの
(例:意識改革研修、モラル向上研修、寺社での座禅 等
・職業または職務の種類を問わず、職業人として共通して必要となるもの
(例:接遇・マナー講習、パワハラ・セクハラ研修、メンタルヘルス研修 等)
・趣味・教養を身につけることを目的とするもの
(例:日常会話程度の語学の習得のみを目的とする講習、話し方教室 等)
・実施目的が訓練に直接関連しない内容のもの
(例:講演会、研究発表会、学会 等)
・通常の事業活動として遂行されることが適切なもの
(例:自社の商品知識研修、QCサークル 等)
・当該企業において通常の教育カリキュラムに位置づけられているもの
(例:入社時研修、新任管理職研修、中堅職員研修、OJT 等)
・法令で義務づけられているもの
・事業所内で実施する訓練の場合、通常就業場行われるもの、通常の生産活動と区別がつかないものまたは教育訓練過程で生産されたものを販売するもの
・当該教育訓練の科目、職種等の内容についての知識または技能を有する指導員または講師により行われないもの
・指導員または講師が不在のまま自習等を行うもの
・転職や再就職の準備を目的としたもの
・過去に行った教育訓練を、同一の労働者に実施するもの
・海外で実施するもの
・外国人技能実習生に対して実施するもの
7.助成額
雇用調整助成金にて、従業員規模が20人以下(小規模事業主)の事業所は、日額15,000円を上限に支払った休業手当が満額助成されます。
従業員規模が20人超の中小企業・大企業の事業所は、以下いずれかに休業手当の支払い率を掛けた額が助成されます。
①前年度1年間における雇用保険料の算定基礎となる賃金総額を、前年度1年間における1ヶ月平均の雇用保険被保険者数及び年間所定労働日数で割った額
→確認書類として、労働保険料申告書を添付します。
②判定基礎期間の初日が属する年度または前年度の任意の月に提出した給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書の支給額を人員及び月間所定労働日数で割った額
→確認書類として、所得税徴収高計算書を添付します。
8.雇用調整助成金の申請必要書類
雇用調整助成金を申請するに必要な書類、資料を以下表にまとめました。
* 従業員規模が20人超の中小企業・大企業の事業所(雇用調整助成金)
書類名 | 参照URL | 備考 | ||||||||
様式特第4号 雇用調整事業所の事業活動の状況に関する申出書 |
こちら | 売上資料を添付 | ||||||||
様式特第6号 支給要件確認申立書・役員等一覧 |
こちら | 役員名簿を添付した場合は不要 | ||||||||
様式特第9号または12号 休業・教育訓練実績一覧表 |
こちら | 自動計算機能付き | ||||||||
様式特第8号または11号 助成額算定書 |
こちら | 自動計算機能付き | ||||||||
様式特第7号または10号 (休業等)支給申請書 |
自動計算機能付き | |||||||||
休業協定書 | – | – | ||||||||
労働・休日の実績に関する書類 | – | 出勤簿やタイムカードの写し シフト制の場合はシフト表を添付 |
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休業手当・賃金の実績に関する書類 | – | 賃金台帳や給与明細 |
*従業員規模が20人超の中小企業・大企業の事業所(緊急雇用安定助成金)
書類名 | 参照URL | 備考 | ||||||||
様式特第4号 雇用調整事業所の事業活動の状況に関する申出書 |
こちら | 売上資料を添付 | ||||||||
様式特第6号 支給要件確認申立書・役員等一覧 |
こちら | 役員名簿を添付した場合は不要 | ||||||||
様式特第9号または12号 休業・教育訓練実績一覧表 |
こちら | 自動計算機能付き | ||||||||
様式特第8号または11号 助成額算定書 |
こちら | 自動計算機能付き | ||||||||
様式特第7号または10号 (休業等)支給申請書 |
自動計算機能付き | |||||||||
休業協定書 | – | – | ||||||||
労働・休日の実績に関する書類 | – | 出勤簿やタイムカードの写し シフト制の場合はシフト表を添付 |
||||||||
休業手当・賃金の実績に関する書類 | – | 賃金台帳や給与明細 |
*従業員規模が20人以下の小規模の事業所(雇用調整助成金)
書類名 | 参照URL | 備考 | ||||||||
申請書類一式 | こちら | 売上資料を添付 | ||||||||
休業協定書 | – | – | ||||||||
労働・休日の実績に関する書類 | – | 出勤簿やタイムカードの写し シフト制の場合はシフト表を添付 |
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休業手当・賃金の実績に関する書類 | – | 賃金台帳や給与明細 |
* 従業員規模が20人以下の小規模の事業所(緊急雇用安定助成金)
書類名 | 参照URL | 備考 | ||||||||
申請書類一式 | こちら | 売上資料を添付 | ||||||||
休業協定書 | – | – | ||||||||
労働・休日の実績に関する書類 | – | 出勤簿やタイムカードの写し シフト制の場合はシフト表を添付 |
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休業手当・賃金の実績に関する書類 | – | 賃金台帳や給与明細 |
* 従業員規模が20人以下の小規模の事業所(教育訓練を行った場合)
書類名 | 参照URL | 備考 | ||||||||
申請書類一式 | こちら | 売上資料を添付 | ||||||||
休業協定書 | – | – | ||||||||
労働・休日の実績に関する書類 | – | 出勤簿やタイムカードの写し シフト制の場合はシフト表を添付 |
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休業手当・賃金の実績に関する書類 | – | 賃金台帳や給与明細 |
9.そもそも、助成金って何?
ここまで雇用調整助成金の最新情報を記載させて頂きましたが、初めて助成金を知った方は、「そもそも、助成金って何?」と疑問を持たれるかと思います。
助成金は、今回ご紹介させて頂いた雇用調整助成金に限らず多数の種類があり、また更にコースで枝分かれしています。
弊社併設の福岡助成金申請センターのホームページにて、「そもそも助成金って何?」という疑問を解消頂きたく、ご説明させて頂いておりますので、是非ご覧下さい。
>助成金とは
10.福岡助成金申請センターのサポート
弊社併設の福岡助成金申請センターでは、20種類以上、コースに分けると倍以上になる様々な助成金を取り扱っており、お客様に合った助成金をご提案・代行申請させて頂いております。
ご契約成立後、法定帳簿等の必要書類をお預かりし、労務監査を実施させて頂きます。
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